写真で綴る登山と旅のあれこれ

南アルプス塩見岳③

3日目:三伏峠~豊口登山口

2018/7/16

三伏峠小屋(4:10) → 烏帽子岳(4:50/5:50) → 三伏峠小屋(6:30/7:40) → 塩川ルート分岐(7:50) → 水場(8:10) → 鳥倉登山口(9:40/10:00) → 第一駐車場(11:10) → 第二駐車場(11:20)

ピリリリ‥ピリリリ‥ピリリリ‥♪

夢の中でこの音を
かなり長く聞いていた気がする

気が付くと時計のアラームだった

無重力の夢の中から
いきなり地上に落ちたような

全身が重く痛かった

3:00
なんでこんな時間に・・
寝呆けて平日の朝と錯覚した

三伏峠小屋_テント場

テント内の気温14℃

前日とほぼ同じ気温のはずが
シュラフから出る気になれなかった

三伏峠小屋_テント場

今日は最終日

下山の前に
近くの山頂で日の出を眺めたかった

"行くか止めるか?"

意識に上がろうとする問いは
敢えて黙殺しつつ

体が優しいものを欲していたので
コーヒーではなくホットココアで暖をとった

出発前にトイレへ向かうと
既に2人が一つの扉の前に並んでいた

複数ある個室が何故か開かずの扉らしい

日の出の時刻まで40分
思わぬ足止めでギリギリの時間だった。。

三伏峠小屋_テント場

久々の快便に
体も心も軽くなり出発!

水場の上を通過する頃には
すでにヘッ電は不要になっていた

急げ急げ~!

塩見岳_烏帽子岳

・・・

4:50
烏帽子岳

塩見岳_烏帽子岳

山頂には先客が4人
全てソロの男性だった

前日の塩見で
見覚えのある顔もあった

"ちょうどですよ!"

塩見岳_烏帽子岳_日の出

息を整える間もなかった

塩見岳_烏帽子岳_日の出

夜が明ける瞬間の
山がザワめくような気配

夜から朝の方角に流れる
冷たい風が気持ちよかった

塩見岳_烏帽子岳_日の出

そして目の前には
完璧なまでにシンメトリーな
富士山がいた

塩見岳_烏帽子岳_富士山

富士山は成層火山で・・・
なんて科学的な知識もない時代の人は
この光景にどんな想像をしたんだろう

・・・

国内には3000m峰が21座あって
完登を目指しているんです

塩見の山頂でも言葉を交わした
若い男性が話してくれた

昨年は北岳、間ノ岳
塩見は最南端の3000m峰なので
これで次から北アルプスへ・・・

あれ?
たしか荒川、赤石岳も・・
まぁいいや

塩見岳_烏帽子岳_展望

振り返れば
中央アルプス、北アルプス
御嶽、乗鞍、槍ヶ岳・・・

塩見岳_烏帽子岳_展望

え!?
槍が見えるんですか!?

ちょうど山頂に立った
中高年の夫婦が稜線に目を凝らしていた

横に立って指を差しても伝わらず
カメラの望遠レンズを覗いてもらった

塩見岳_烏帽子岳_展望

槍穂の岩場は急峻すぎて
冬でも雪が付かず黒く見えるんですよ

自分も以前どこかで誰かに聞いた話を
得意げに人に話していることが可笑しかった

・・・

”あれは白山ですか?”

トレラン風の同年代の男性だった

中央アルプスの少し南に
飛び地のように浮かんだ山頂

恵那山ですよ
と答えると

一見してベテランの登山者でも
特に東日本の人には
恵那山の知名度は低いらしく
まだピンとこないようだった

塩見岳_烏帽子岳_眺め

TJARを来月に控えたこの時期になると
調整中の選手に会えることもあるそうで

前日も塩見から荒川方面へ走る選手がいたそうな

富山湾から駿河湾まで約420km

最短でも約5日を殆ど不眠不休で
(もっとも小屋泊は禁止だそう)

台風でも決行
(むしろレースが面白くなるとか、、)

北、中、南アルプスを一気に駆け抜ける
常軌を逸したモンスターマラソン

コースは昨日の仙塩尾根から塩見岳を経て
まさにこの場所も踏んで太平洋まで続いていく・・

塩見岳_烏帽子岳_眺め

小河内岳と避難小屋
リニア新幹線はあの辺りの地下を通ります

塩見岳_烏帽子岳_小河内岳

静岡側から大鹿村を貫く下り勾配のトンネル
地下水脈を傷つけると山の水場が枯れる可能性もあるとか
それは死活問題だ

・・・

”またどこかで”

一人また一人と去っていき
最後に一人残った山頂を後にした

塩見岳_烏帽子岳

・・・

小屋に戻る途中

最後にもう一度
水場に水を汲みに行った

納屋に置かれたラジオの音声は
宇多田ヒカルだった

塩見岳_ダケカンバ

デビュー20周年について
淡々と語っていた

続けることが目的ではなかった
楽しいから続けていたら20年たっていただけ

常に新しいことをやってきたから
一つの事を続けてきたつもりもない

・・・

何かを続けるってこういうことかもね

なぜ山に登るのか
この問いに答えがないのも当然
目的ではなく手段だからだ

水を汲み終えて立ち去ろうとしたとき
彼女はこうも言っていた

できるかできないか分からない
ギリギリくらいのことをやり続けろと

山でこれは危険ですが。。
でもいい刺激をもらった気がした

・・・

6:30
テントに戻って二度目の朝食

三伏峠小屋

テントを乾かしながらゆっくり撤収
この時間が山で至福な気がする。。

・・・

”お世話になりました”

小屋のスタッフの若い女性が
エプロン姿で小屋の前を掃いていた

”お気をつけて”

優しい声で送り出された

三伏峠小屋

7:40
下山開始

塩見岳_豊口ルート

汗の臭いを嗅ぎつけた
アブ達にたかられながら

長い長い樹林帯の下り
いつもは憂鬱な道程ですが

塩見岳_豊口ルート

この日はこの樹林帯が
最後の楽しみだった

塩見岳_カラマツ

尾根を外れて最後の急斜面に
整然と広がるカラマツの森

塩見岳_カラマツ

ハァー…素敵。。

夢中で写真を撮っていると

登りの登山者に
森に何かいるのかと訊かれた

塩見岳_カラマツ

だって関西ではカラマツの森は珍しいんだもん
こんなに美しい森は初めてみました

塩見岳_カラマツ

秋の黄葉はさぞかし

ここだけを目的地にしても
また来たいくらいだ

・・・

9:40
無事に下山

塩見岳_鳥倉登山口

ちょうど9時のバスが出たところだった

こうしている間にもアブに刺されたので
乗遅れたら大変だ。。

塩見岳_鳥倉登山口_バス時刻

ここから駐車場までは約1時間。。
自転車があれば・・

鳥倉林道

林道を歩いていると
頭上をヒラヒラと舞う生き物がいた

鳥倉林道_アサギマダラ

ホタルブクロにアサギマダラ

鳥倉林道_アサギマダラ

周囲をよく見渡してみたら…
あちらにも、こちらにも

そしていろんな蝶が

ハンディカムを片手に
蝶を追っている男性がいたので
聞いてみると

この鳥倉林道はたくさんの
高山チョウが集まるスポットなのだそう

鳥倉林道_アサギマダラ

三伏峠の周辺には
もっとたくさんいたでしょう?

そう言われてみれば
烏帽子岳の登りには
何かがたくさん飛んでいたような‥

ミヤマシロチョウ
クモマツマキチョウ

初めて聞く名前だったので調べてみたら
驚くほど美しかった

しまった。。
もっとよく観ておくんだった

話を聞けばこの男性
何でも答えてくれる達人だった

カラマツの林床一面に咲く
ヒヨドリバナ

鳥倉林道_ヒヨドリバナ

これがたくさんのチョウを引き寄せて
アサギマダラの好物でもあるそうです

鳥倉林道_ヒヨドリバナ

ヤマキチョウ
羽の内側は鮮やかなレモン色

鳥倉林道_ヤマキチョウ

ミドリヒョウモン
後羽が薄っすら緑の豹紋

鳥倉林道_ヤマキチョウ

シジミチョウ
よく見ると羽の後ろにも頭!?

鳥倉林道_ヤマキチョウ

いつもは逃げない山ばかり撮っているので
動くチョウは難しいこと

次々にチョウを見分ける名人と比べて
動体視力のなさも痛感した。。

鳥倉林道_アサギマダラ

●浅葱(アサギ)色
新選組の羽織の色でお馴染みですが
この蝶の色とは少し違うみたいだ

よく見るとマーキングされた個体もいた

渡りの不思議についても教えてもらった

後ろ羽の後ろに黒い染みのような
模様があるのが雄で性標と呼ぶそうな

アサギマダラ_性標

山でテンションが上がる100のこと
その④ アサギマダラ

アサギマダラ

山でこの蝶を見かけたら
勇気をもらえる気がします

・・・

無事に下山してちょっと寄り道

中央構造線博物館

キャッチフレーズは
山に登ったら岩を見よう!(笑)

マニアックな展示が満載
写真も許してもらえました

案の定
タモリさんの番組でも紹介されたことがあるそう

中央構造物博物館

他に客もなく
スタッフの方に解説してもらえました

中央構造線、フォッサマグナ、糸魚川構造線
全部同じだと思ってた。。

南アルプスで見られる岩石の種類
リニア新幹線のトンネル工事の裏話まで

今回のレポの大半の情報は
実はここで聞いた話だったりします

中央構造物博物館

・・・

鹿塩(かしお)温泉

博物館で教えてもらった温泉へ

鹿塩温泉

左の道は
塩川小屋へ続く道ですが

途中で崩壊していて
登山道は通行止めになっています

・・・

海水とほぼ同じ塩分濃度の
珍しい塩の温泉

昔は製塩も行われていたそうで
塩見岳の山名の由来になったとも

遠く太平洋でプレートと一緒に
沈み込んだ海水がこの付近に
上がってくるんだそうな

海水の塩分は地熱の高温で
一度は失われるそうですが

地中を移動するどこかで
岩に含まれる塩分が再び溶け込むそう

どこかロマンチックな温泉でした

鹿塩温泉_塩湯荘

・・・

さぁ次はどこへ
まだ見たことのない景色を求めて

おわり

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  1. 2018/07/30(月) 10:14:19|
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Author:タイヘー
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近所の六甲山から全国の名山まで
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