写真で綴る登山と旅のあれこれ

南アルプス塩見岳②

2日目:三伏峠~塩見岳

2018/7/15

三伏峠小屋(3:40) → 三伏山(4:00) → 本谷山(5:00) → 塩見小屋(6:40) → 天狗岩(7:30) → 塩見岳(8:10/8:40) → 北股分岐(9:10/10:30) → 塩見岳(11:10) → 塩見小屋(12:30) → 本谷山(14:30) → 三伏山(15:40) → 三伏峠小屋(16:00)

2:30
夜露でびっしょり濡れたテントから身を乗り出すと
満天の星空に北斗七星が輝いていた

三伏峠_テント場

気温13℃
ひょっとすると冬の気温だった

でも寒さは感じなかった
前日の激辛カレー効果かも

簡単な朝食を済ませたら
トレイ渋滞もなく順調に準備完了

目覚めもよく頭もスッキリして
すぐにでも歩きたい気分だった

3:30
テントから体を引きずり出すと
肉眼では周囲はまだ真っ暗闇でも
満天の星空は消え始めていた

三伏峠_テント場

テン場を出て最初の分岐
昨日の水場の道と別の道を進む

三伏峠

まずは三伏山への登り

真っ暗な森のなかを
ヘッ電の灯り一つで登っていく

ゆっくり登れば
山頂で日の出の予定が・・・

早すぎた。。

三伏山

”ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ・・”
鳥たちも目を覚ましたのか

まるでヒヨコの大群に
包囲されたような騒がしさだった

東の空に塩見岳が浮かび上がると
遠くに一つ先行者のヘッ電の灯りが動いていた

三伏山~本谷山

このまま日の出まで待とうか
でもまだ1時間はあった

いっそ先へ進んで日の出までに
もっと見晴らしのいい場所を見つけるつもりが・・

三伏山~本谷山

標高2600mを越えているのに
森林限界とは無縁の深い樹林帯の道が続く
これも南アルプスなのか

三伏山~本谷山

本谷山2658mに着いたところで
稜線越しの朝日を浴びた

肌がピリピリするような
夏山の日差しだった

本谷山_日の出

西側に開けた山頂
朝日が雲海を融かしていく

本谷山

振り返ると
歩いてきた稜線を雲海が乗り越えていた

本谷山

稜線に佇む小河内岳の小屋
三伏峠の標識に展望良好と広告も出ていた

最近リニューアルされてそれは快適だそうな
山小屋を目的地にした登山も楽しそうだ

小河内岳_避難小屋

登山道は再び樹林帯へ

塩見岳_登山道

朝日の差し込むシラビソの森を抜ける

塩見岳_登山道

今日は荷物はテントに置いて
空身でラクラクのつもりが・・

塩見岳_登山道

縦走用ザックは
その図体だけで3kgもある上に

この日の行程には水場がないので
2リットルの飲料水を担いできた

さらに食料やカメラも合わせると
10kg近い荷物になっていた

山頂ピストンなら
サブザックは必需でした

塩見岳_登山道_シラビソの森

立ちはだかる塩見岳への登り
まさに"漆黒の鉄兜"

塩見岳_登山道

本格的な登りになると
昨晩に養った鋭気はすぐに底をつき、、

塩見小屋までラスト40分は
目まいがするような急登だったけど

この標識に励まされた

塩見岳_がんばるだに

登山道の危ない場所にも

塩見岳_がんばるだに

うん!がんばるだに!!

塩見岳_がんばるだに

生の”だに”を聞いてみたかったな~

塩見岳_がんばるだに

・・・

塩見小屋に到着

塩見小屋

気がつけば憬れの稜線が
手を伸ばせば届きそうな距離だった

塩見岳_展望

奥から甲斐駒ヶ岳
その左手に仙丈岳

塩見岳_展望

そして白峰三山
北岳、間ノ岳、農鳥岳

塩見岳_展望

滝のような雲海に洗われる
仙塩尾根・・・

ハァー・・・素敵。。

次々と広がる展望に気を取られて
なかなか先に進めなかった

遠くの美しい景色とは裏腹に
目の前には現実に引き戻される光景

塩見岳_登山道

ハイマツの上を日に透かして見れば
視界が霞むほど大量の羽虫。。

塩見岳_登山道

コースは核心部へ

地図に描かれた
”危”マークが気になっていた

天狗岩の岩場を通過して
きっとここだろうと一息ついていたら

塩見岳_天狗岩

すれちがった下りの数人に
ここからが本当に危険だと繰り返し警告された

塩見岳_登山道

ヘルメットを被っている人が多いと思ったら
ここだったのね。。

別の岩ルートの他人事だと思っていたのに、、

塩見岳_登山道

スリルは想定外で心の準備が追いつかず
緊張で胃が痛かった

この展開
甲斐駒で直登ルートに迷い込んだときと同じだ

塩見岳_登山道_岩場

一体どんな難所が現れるのかと
恐る恐る岩に張り付く

言われてみれば小さな浮石が多く
常に砂礫が崩れているような場所だった

先行者が落す石は距離を取れば避けられても
自分が石を落すことが心配だった

塩見岳_登山道_ベンケイソウ

念のためにカメラもザックにしまって
両手が使えるようにしていると

スマホ片手に花の名前を調べながら
縦走装備で平然と下ってくる男性がいた

塩見岳_登山道_ハクサンシャクナゲ

危ない個所はどこかと訊いたら

”いえもう頂上ですよ”

へっ!?

塩見岳_登山道_岩場

・・何はともあれ
無事でよかった。。

・・・

塩見岳(西峰3047m)
山頂!

塩見岳_西峰

その山名の由来は
山頂から遠く駿河湾まで見渡せる"潮見"説など

塩見岳_展望

山頂は双耳峰になっていて
緩やかな稜線で繋がっています

塩見岳_稜線

短いけれど極上の稜線でした
東峰(3052m)に伝って西峰を振り返る

塩見岳_東峰

この先これ以上の光景があるんかなと
不安になることがこれまで何度かあった
でも心配は不要だった

塩見岳_展望

南には荒川岳
南アルプス山脈の主稜線とはいえ
三伏峠で分断されて見える

塩見岳_展望_荒川岳

北側は切れ落ちた塩見バットレス
その先には仙塩尾根の回廊と北部の山域

まさに南アルプスど真ん中
南アルプスの”ヘソ”からの眺め

塩見岳_展望_白峰三山

間ノ岳の肩越しに北岳

もうどうなってもいい
このまま縦走してしまいたい衝動・・

塩見岳_展望_白峰三山

ここで引き返さないといけないのか
これで本当に終わりなのか・・

塩見岳の稜線はあまりに短すぎた

塩見岳_展望

行くか、引き返すか・・・
山頂で迷っていたら

仙塩尾根の縦走路から
一人の男性が上がってきた

20代かまだ学生の若い男性

激しく息を切らせて
全身から湯気がでそうなほど汗だくだった

どこから縦走してきたのか訊くと

”熊ノ平から”

初耳の地名に
北アルプスの雲ノ平かと仰天したけど

北岳の麓にある小屋らしい

そんなことも知らないのかと
息を荒げながら誇らし気に教えてくれた

塩見岳_展望

ザック、靴、ウェア、マット、ボトルホルダまで
よく見ると全てが新品だった

そう自分も昔だったら絶対に行っていた

いつからこんなジジ臭い登山を
するようになってしまったのか

行かずに後悔するくらいなら
行って後悔するのさ!

塩見岳_展望

・・・なんて
できるはずもなく

行けるところまで行って
仙塩尾根を間近で見たかった

塩見岳_展望

いざとなったら
すぐに引き返せるところまで

帰りの時間と体力を
引き算しながら・・・

そんな甘い打算は最初の激下りで
すぐに破綻してしまった

塩見岳_バットレス

大勢の登山者で賑わう山頂を離れて
一人になると不思議なほど気楽になった

時間のことは忘れて
まるで六甲山でも散策しているような

塩見岳_登山道

北股岳分岐
ここを今回の目的地とする!

塩見岳_北股岳分布

多くの人にとって登山の目的地は
山頂であることが多いと思いますが

山小屋、稜線、マザーツリー、動物
もっと自由であっていいと思う

私にとって今回の山行の
ハイライトはこの尾根でした

塩見岳_仙塩尾根

心に残る風景というより
いっそしっかり心を残して帰りたかった

塩見岳_展望

いつでもふと立ち返ることができるように
そんな場所がまた一つ増えました

塩見岳_展望

北股岳
その奥に蝙蝠(こうもり)岳

塩見岳_北股岳_蝙蝠岳

パラソル状に延びた稜線・・・
稜線フェチにはたまらない山ですが

ここから往復だけでCT4時間
今回は諦めた

蝙蝠岳

こんにちは!
気が付いたら同じ岩場に人が立っていた

塩見岳_展望

ピンクの燕岳Tシャツを着た
ソロの女性だった

北岳からの縦走の途中だそうで

しばらく山は懲り懲り
ラーメンもカレーも食傷気味で・・

いつもの自分と
全く同じ愚痴が可笑しかった

でもまたしばらくしたら
山に戻ってきてしまうんですよね?

自分の体程あるザックを背負う姿には
まだ余裕があった

その小柄な体のどこに
そんなパワーと勇気があるのかと脱帽でした

>AIZさん
いい刺激をもらいました
ありがとうございました!

塩見岳_展望

・・・

いつからここに居たっけな。。

西から吹く風に当たり続けていたら
体が冷えて思わずレインウェアを着た

昼が近づき山の天気が変わり始めていた

塩見岳_展望

ここから三伏峠のテントまでCT5時間
夕立が心配だしそろそろ帰るか

塩見岳_展望

ザックを持ち上げると岩の上に
見慣れないテントウ虫を見つけた

シャツのボタンほどのサイズで
見たことのない模様だった

ひょっとして新種かも!?

塩見岳_カメノコテントウ

期待を膨らませて
帰ってからネットで調べると

すぐに正体が明らかになった

”カメノコテントウ”

日本最大のテントウムシだそうですが

ネットに掲載された写真はよりによって
自宅の近所の庭で撮られたものだった

触られると怒って
目から血液を吹きだすそうな、、

・・・

名残り惜しい特等席を後にして

塩見岳_展望

帰ります

塩見岳_展望

遥かなる登り返し
見た目ほど苦ではなかった

塩見岳_展望

何度か立ち止まって呼吸を整えていると
強い花の香りが鼻を突いた

塩見岳_花畑

見渡しても目立つ花は
見当たらないのに

塩見岳_花畑

どの花の匂いだったんだろう

塩見岳_花畑

そしてこの匂い・・
どこかで嗅いだことがあるような

強いていえば
甘いクリームのような刺激臭。。

写真のように香りを記録する
スマホアプリがあったらいいのに

香りのソムリエというのがあるそうですが
きっと味覚より難しいと思う

塩見岳_花畑

同じ夏山でも
盆休みの頃とは違った花にも出会えました

ミヤマオダマキ

塩見岳_ミヤマオダマキ

ハイマツの花!?
初めてみました

塩見岳_ハイマツの花

・・・

塩見岳の山頂に戻ってきた

塩見岳

山頂直下の塩見小屋では
ヘリが何度も往復して荷揚げの最中だった

塩見岳_塩見小屋_ヘリ荷揚げ

水場もなくトイレもカートリッジだそうですが
人気の小屋で昨晩は1人1畳の満員だったそう

・・・

朝は緊張で余裕がなかった
天狗岩の岩場

塩見岳_天狗岩

こうしてみるとかなりの急こう配

塩見岳は残雪期のGWにも登れるそうですが
この辺りの雪の状態は調べたほうがよさそう

塩見岳_天狗岩

この時間帯になると
朝とは登山者の客層が少し違っていた

山岳部の学生
北岳や仙丈からの縦走者
蝙蝠岳から登っている人もいた

みんなツワモノぞろいで
ソロの人も多かった

塩見岳_天狗岩

そして動物も・・

一瞬うさぎかと思った

後ろからトイプードル(らしき動物)が
難所の岩場を平然と下っていった

塩見岳_珍獣

珍獣でも見たのかな。。

山が深くなると出会いが濃くなる法則
これは北アルプスの深部でも同じだった

・・・

シラビソの森に入り木陰で一息ついて
水を飲もうとしたとき・・

塩見岳_シラビソの森

ザックの中でボトルのキャップが外れて
水1ltが消えていた。。

こんなことは初めてだった
復路だったからまだよかったのか・・

塩見岳_シラビソの森

よく考えたら
朝から水を1ltしか飲んでいないことに気が付くと
無性に水が欲しくなった

こうなったら早く帰らねば!

朝は真っ暗で分からなかったけど
三伏山の登り返しがこんなに急だったとは。。

塩見岳_三伏山

・・・

16:00
三伏峠小屋

三伏峠

無事にテン場に戻ると
近所のテントの約半数が入れ替わっていた

裏のテント客は明日が塩見岳で
どうやら登山初心者の夫婦らしかった

女性は山のトイレが気に召さなかったらしく
衣服に臭いがついたと大騒ぎだ

隣のテントからは
ベーコンを焼く香ばしい匂い

それをおかずに夕食
インスタントラーメン塩と味噌の2袋
スープまで完食すると

もうお腹いっぱいだった

・・・

22:00
高所から落ちるような
夢に驚いて目が覚めた

隣のテントから頭越しに
イビキが聞こえていた
今夜もか。。

山の最終日は疲れているのに
眠れないことが多い気がする

テントから身を乗り出して
空を見上げると

今日も天の川の星空だった

三伏峠_星空

山でテンションが上がる100のコト
その③ 流れ星

三伏峠_星空

初日に比べて静かな夜だった

耳を澄ませると
森から時折響くシカの鳴き声と
隣のテントのイビキ

明日は帰るだけだし
今夜は夜更かししちゃおう

三伏峠_星空

長い一日が終わった

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  1. 2018/07/15(日) 08:35:42|
  2. 小旅
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タイヘー

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近所の六甲山から全国の名山まで
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