写真で綴る登山と旅のあれこれ

恵那山②

神坂峠

<6月16日(金)>

萬岳荘(5:40)→神坂峠(6:20)→鳥越峠(7:00)→大判山(7:50)→恵那山頂(10:30)→山頂小屋(10:40/11:00)→大判山(12:40)→神坂峠(14:00)→萬岳荘(14:10)

ふと目が覚めると
4時を過ぎていた

4時にセットしたはずの
目覚ましを止めた記憶がなく

目が覚めたのは
別の音のせいだった

ホォー・・ホケキョ!

信じられない数の
ホケキョに包囲されていた

ホホホケキョ
ホケチョ

高音や低音
鳴き方にも訛りや
個性があるとは

テントから
顔を出してみると

白み始めた空に
白い半月が残っていた

恵那山_登山道_テント場

3時間ほど眠っただけでも
気分はすっかり平静になっていた

かつて経験したことのない恐怖感
あれはいったい何だったのか

恵那山_登山道_テン場

朝食をしていると
風とともに雲がでて

見えていた青空は
隠れてしまったけれど

恵那山に登ることに
迷いはなかった

恵那山_登山道_テント

萬岳荘から神坂峠まで
車道なら10分程ですが

朝日を期待して
あえて稜線コースへ

恵那山_登山道

天気予報は晴れマーク

風が強く雲が速かった
これならじきに晴れそうだ

恵那山_登山道

小ピークを巻いて
神坂峠へ高度を下げていく

肩幅ほどの狭い道を
歩いていたときだった・・

朝の湿った空気に
動物園で嗅いだような
臭いがした

恵那山_登山道_クマ

昨晩の小屋で
管理人さんが言っていた

獣の臭いがしたら
出没するサインだと・・・

朝の静寂を破るのには
気が引けつつも

腰につけたクマ鈴を
盛大に鳴らしながら

クマ笹の動きに
目と耳を凝らして

素早く通過。。

・・・

登山口のある
神坂峠が近づくと

車のエンジン音と
微かに人の声がして

初めて緊張が緩んだ

恵那山_登山道

卑弥呼の時代には
獣みち程度しかなかった
日本列島

本格的な道路網が
整備されたのは

約1300年も昔
奈良時代の頃

律令制により

畿内と全国を結ぶ
古代七道が整備された

東海道、北陸道、山陽道
山陰道、南海道、西海道

そして東山道
畿内と東北を繋いだ道

恵那山_登山道_神坂峠

沿岸の東海道に比べ
洪水の影響が少ない分

厳しい山越えの道には
山賊も出没し

行き倒れになる旅人も
多かったそうで

七街道中
最大の難所とされた

神坂(みさか)峠

恵那山_登山道_神坂峠

荒ぶる自然の前に
人々が祈祷をささげた
遺跡も出土した

耕作放棄地のように
跡形もありませんが。。

遺物は
中津川の公民館で
見学できるそうです

恵那山_登山道_遺跡

江戸時代になると

木曽谷へ迂回する
中山道が発達し

ここを通る旅人も
減ったそうですが

江戸時代の街道は
徒歩を前提としていたのに対して
(現代の国道に似ている)

古代の街道は
早馬が通ることが前提で

直線・最短距離を
優先していたので

現代の高速道路網と
よく似ているというのは
面白い話

恵那山トンネルの工事でも
換気口が遺跡を壊すとして

古代東山道の存在が
日の目を見るようになったそう

・・・

登山口に到着
写真で何度も見ていた場所だった

恵那山_神坂峠_登山口

駐車スペースには
車が3台、バイクが1台

軽自動車がちょうど到着して
女性が身支度をしていた

このときばかりは
人の気配が嬉しかった。。

恵那山_神坂峠_登山口_駐車場

恵那山へ出発!

恵那山_登山口_神坂峠

朝の気温は
最低でも10℃前後

みるみる
気温が上がって

歩き始めから
寒さは感じなかった

恵那山_登山道

登り始めてすぐに
千両山のピーク

恵那山_登山道

恵那山の眺めに見とれて
直進していたら

前から一組がやってきて
この道は違うと教えてくれた

右へ折れて正面の尾根に
取り付くのが正解

分岐が分かりにくいのは
ここだけだった

恵那山_登山道

一旦大きく下って
鳥越峠

復路はこの登り返しが
最後の難関になるのか。。

強清水から直接ここへ
登ることもできるそう

恵那山_登山道_鳥越峠

百名山だけあって
南沢山からの縦走路と同じ以上に
道はよく整備されています

恵那山_登山道

昨晩に小屋で会った
奈良の夫婦は往復10時間
と話していた

途中に水場がない
ロングコースなので

水は少し多めに
2リットル

横川のコケ名水も
まだ残っていた

不要な荷物はテントに
残してきたとはいえ

ザック自体も3キロもあるので
身軽とはいえない足取りだった

恵那山_登山道

タララララ・・・
キツツキのノック音が
こだまする森の道

初日の登りで
火傷したようにヒリヒリする
足の裏をかばいながら

今日もテント泊なので
時間はタップリあるし

一歩一歩
リラックスして進む

恵那山_登山道

標高が上がると

中津川から吹き付ける
風が強くなった

登山道は尾根筋からは
陰になっているので

頭上をかすめて
風の音だけが吹き抜けていた

そういえば
テントの張り綱は
大丈夫だったかな。。

恵那山_登山道

大判山で休憩していると

3人組の若者に
追い抜かれた

一人は
黒ずくめに長髪

すぐにそれと分かる
スタイルで

スマホに繋いだ
小型のアンプとスピーカで

80年代の懐かしい
ハードロックを鳴らして

歌いながら登っていった

恵那山_登山道_大判山

神坂峠コースは
アップダウンは多いけど
展望のいいパノラマコース

恵那山_登山道_神坂峠コース

見どころが少ないと
いわれる森の道も

恵那山_登山道_神坂峠ルート

恵那山の特長の一つは
とにかくカエデ類が多いこと

そんじょそこらの
紅葉公園より遥かに多い

恵那山_登山道_紅葉

次いで多いのが
ミズナラ

黄葉の壮観が
目に浮かぶ・・

恵那山_登山道_黄葉

サラサドウダンは
ちょうど今が見ごろ

これも秋には
真っ赤に染まる

恵那山_登山道_サラサドウダン

連休の甲武信では
想像するしかなかった

アズマシャクナゲ

恵那山_登山道_アズマシャクナゲ

日向でも日陰でもない
茂みのなかで

薄日を浴びて
登山道を照らしていた

恵那山_登山道_アズマシャクナゲ

天狗ナギの上を
濃い雲の影が流れていく

恵那山_登山道_天狗ナギ

ここから稜線まで
いよいよ本格的な登り

恵那山_登山道

人の気配がなくなって
感覚が鋭くなると

ここまでの登山道と
何かが一変した

恵那山_登山道

神域のため
必要最小限にしか

人の手が入っていない
原生林の匂いなのか

恵那山_登山道_原生林

静寂というより
自分の足音や風の音の
反響が微妙に違うのか

静かなこととも違う
無響室のような違和感

恵那山_登山道_原生林

信仰の山という
予備知識を差し引いても

登山道の一歩向うは
もののけの世界

そんな気にさせる
何かがある

これまでにも
大峰山と岩木山で
体験した感覚だった

恵那山_登山道_原生林

・・・

稜線に到達
ここで前宮コースと合流

恵那山_登山道_前宮コース分岐

山の反対側からの
風は冷たく感じられて

防寒着を出すか
迷うほど寒気がした

ここから山頂まで
水平な稜線歩き

恵那山_登山道_稜線

樹々に覆われて
展望はない

恵那山_登山道_稜線

掃き清められた
神社のような稜線に

恵那山_登山道_稜線

一乃宮から六乃宮まで
社が続いている

恵那山_登山道_一宮

四乃宮は熊野社
速玉男命(はやたまのおのみこと)

恵那山_登山道_四ノ宮

五乃宮は富士社
木花咲開姫(このはなのさくやびめ)

恵那山_登山道_五之宮

記紀に登場する
八百万の神様に出会える
有難い稜線なのだ

恵那山_登山道_稜線

そして
恵那神社 本社

恵那山_登山道_恵那神社

祀られているのは
国産み神話の二神

伊邪那岐(イザナギ)
伊邪那美(イザナミ)

その昔二人の神様が
天照(あまてらす)大神を
産まれたとき

胞衣(えな)=へその緒を
この山に埋めた

壮大な言い伝えが
この山の由来だそう

・・・

恵那山頂 2191m

恵那山_登山道_山頂

ある意味で
この山の残念な印象を
決定づけている展望台

恵那山_登山道_展望台

展望のない山頂に

展望がないことで
有名な展望台。。

恵那山_登山道_展望台

これを建てた人は
どんな気持ちだったんだろう

・・・

広河原コースから
登ってきたという
若い2人組がやってきて

山頂の標識だけ
写真に撮ると

すぐに
立ち去ってしまった

・・・

一人になった山頂で

最後の豆大福を頬張り
休憩していたときだった

自分の背後から一直線に
笹の上を何かが吹き抜けた

辺りには風という風もなく
動物とは思えないスピードで・・・

つむじ風・・だったのかな

・・・

阿智7サミット
南沢山と富士見台も含めて
これで一気に3座ゲット

恵那山_登山道_阿智セブンサミット

全ての標識と記念写真を
揃えて申請すると

セブンサミッター・バッジが
もらえるそうです

詳しくは↓
【東山道・園原ビジターセンターはゝき木館】

・・・

山頂小屋の周辺が
登山者の憩いの場だった

恵那山_登山道_避難小屋

小屋裏の狭い岩場に
登ってみると・・・

恵那山_登山道_山頂小屋

唯一の貴重な
展望スポットなのだ

恵那山_登山道_展望スポット

見渡せば
南アルプスがズラーリ!

聖の肩に富士山が
見えるそうですが・・・

恵那山_登山道_聖岳と富士山

どれが聖岳かも
分からなかった、、

・・・

稜線に到着したときには
寒気さえした風は

いつのまにか止んで
日差しが照り付けていた

恵那山_登山道

耳を澄ませても
聞こえるのは

控えめな会話の声と
アブの羽音だけ

昼食にしたものの
神社の境内にいるような

なんとく場違いな気がして
あまり落ち着かなかった

恵那山_登山道_山頂

・・・

下山を始めると
タイムスリップしたように
季節が進んでいた

恵那山_登山道

暑っつー!
思わず口に出た

日陰のない
大判山で休んでいると

大きなハナバチに
追いまわされて

みるみる体温が
上昇していくようだった

恵那山_登山道_大判山

朝の強い風は
季節が変わる兆候だったのか

恵那山_登山道

千両山まで戻って
振り返ると

夏山の光景だった

恵那山_登山道_千両山

神坂峠に無事下山

恵那山_登山道_神坂峠

・・・

車道を歩いて
萬岳荘に戻ると

管理人さんに
聞かされていたように

全てのドアが施錠され

駐車場に名古屋ナンバーの
車だけが停まっていた

登山者かな?

夕方にテント仲間が
増えることを期待していた

恵那山_登山道_萬岳荘_駐車場

屋外の炊事場の水場で
顔を洗って

そのまま小屋の裏から
神坂山へ登ってみた

恵那山_神坂山_登山口

小屋の残骸のような
瓦礫を横切るとき

足元のアオダイショウを
踏みかけた

すぐに森を抜けて
視界が開けた

恵那山_登山道_神坂山

神坂山 1684m
南アルプスはヤブの向こう

恵那山_登山道_神坂山

中アルプスも
見えなくはないけど

恵那山の
眺めが抜群だった

恵那山_登山道_神坂山

正面に見える二本の尾根

右が今日の神坂コース
左が広河原コース

恵那山_登山ルート

ササの稜線の上を
白いグライダーのようなものが
音もなく旋回していた

小屋に停まっていた車か・・

恵那山_登山道

来週は夏至

寒くもなく暑すぎず

一年で最も日が長く
空が青い季節

まだどの山も空いている

梅雨の頃は晴れれば
登山のベストシーズンだ

恵那山_登山道

明日は朝日を見ながら
富士見台を帰ろう

充実感と安堵感に
満ち満ちていた

恵那山_登山道

でもその前に
もう一晩ある

・・・

小屋に戻ると
名古屋ナンバーの車は
消えていた

テントも増えていなかった

夕食は味噌ラーメン

匂いがするので用心のため
小屋で調理して食べた

ガコガコ音のするテラスで

広い小屋に雪山のような
絶対的な一人だった

夜中にクマに襲撃されたら
ここへ逃げ込めと教えられた

避難部屋にも
太いカンヌキがかけられていた

恵那山_萬岳荘

初日とは何かが
根本的に違って

落ち着いていた

やっぱり
ウドの薬効だったのでは・・

本_日本の山を数えてみた_データで読み解く山の秘密

日が落ちて・・

恵那山_萬岳荘_テント場

昨晩は聞くもの全てが
クマの気配に聞こえた物音

耳を澄ませる余裕があった

ビヨビヨビヨ・・と
車の防犯ブザーのように鳴く
得たいの知れない鳥(?)

時々上空を飛びぬける
戦闘機のジェット音

時々ヤブから動物が
飛び出す音も

クマにしては小さすぎたり
ひずめの固い音がした

特に紛らわしいのが
水場の水音だった

脈動するように流れたり
しばらく止んでみたり

変幻自在に様々な
音に聞こえていたのだった

そして
自分の腹の音も・・

恵那山_星空

寝る前に流星を見よう

テントから身を乗り出して
空を見上げたら

3秒とかからなかった

ほぼ天頂から
南の空へ

大きな星が一粒
流れて消えた

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  1. 2017/06/16(金) 09:56:59|
  2. 山行記
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タイヘー

Author:タイヘー
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近所の六甲山から全国の名山まで
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